行動分析学的アプローチで成功率を高める行動をつくる方法
前回は行動分析学アプローチについて、その基本的な考え方を紹介しましたが、今回は具体的に「成功率を高める行動をつくる方法」についてお伝えします。
理屈はわかったけれど実際どうするの?
その手順と成功を高めるための工夫について提案を例を交えながら紹介します。
行動分析学のコアコンセプト
具体的な話に入る前に、もう一度行動分析学のコアコンセプトをおさらいしておきます。
要するに人はメリットを感じる行動だけを取るということ。
そしてメリットが得られる限り行動は繰り返され、その行動は強化されることになります。
つまり、取りたい行動を定着(習慣化)させるのはメリットを生じさせるための工夫が必要だということでもあります。
人事を尽くして天命を待つ

成果は行動の後についてくるもの。
成果(ゴール)を求めて走るけれど成果を直接取りに行くことはできません。
わたし達にできることは成果を生み出すための行動だけです。
成果は行動の結果でしかありません。
目標には成果目標と行動目標があります。
例えばTOEIC800点取得を目標とすることに問題は全くありませんが、この800点という成果目標は「お題目」のようなものです。結果として達成したいと思う目標です。
この800点ですが、今のあなたの実力から800点までのギャップを埋めるスキルの獲得が必要ですよね?
このスキルの獲得のためにあなたがするべきこと行動がタスクです。
800点というゴールを達成するために今日やるべきタスク – これが行動目標です。
今日のタスクがあなたが本当にやるべきことで、それを完了したら、すなわち目標の達成です。あなたはできることを全てやった。人事を尽くしたことになります。
一方、成果目標はどうでしょうか?
成果は結果ですから、あなたにはどうすることもできません。
結果は運やライバルなどの外部要因にも影響されます。
つまり結果をコントロールすることはできないのです。
あなたにできることは天命を待つだけ。
コントロールできるのはあなたの行動だけと言うことをはっきりと意識しておきましょう。
具体例をあげてみます
仮にある問題集1冊を5回繰り返すことでTOEIC800点が達成できると見積もったとします。
そしてあなたがこのTOEICの試験対策にかけられる時間は1日30分とします。
30分で完了するページ数を300ページの問題集の10ページとしたら30日で1冊完了、5セットで5ヶ月かかる計算になります。5ヶ月後にあなたがTOEIC800点を取るため必要なことは、毎日30分(10ページ)の学習をこなすこと。これが(数値)行動目標です。
そして肝心なことは、
一旦行動目標ができたら、今度は結果を一切考えずに目の前のタスクに集中すると言うことです。
毎日行動すれば、毎日目標を達成できます。
先述しましたが、例え30分の行動だとしても人事を尽くしたわけですからその時点で成功です。
成功の達成感は行動のメリットになり、次の行動へのインセンティブになります。
達成感を毎日積み上げていくことで行動が強化され→習慣化されます。
5ヶ月後の成果目標を達成してからのメリットでは「遠すぎる」のです。
メリットは行動の直後に得られる必要があると言うことを覚えておきましょう。
目標達成の確度を高める3つの仕掛け

「行動目標をたて実行すること」
これが基本であり、すべてですが、それでもより成功率を高める「もうひと工夫」があるとより良いですよね?
ここでは行動をサポートする3つの仕掛けをご紹介します。
小さな目標をたてること
なるべく目標を小さく設定すること。
もちろんあまり細かすぎてもタスクの指定自体が大変になってしまいますのでその辺のさじ加減は必要です。
とは言え、前回の記事でもお伝えした通り、ハードルは低いほど行動しやすいことは確かです。
なぜか?それは(単純ですが)達成しやすいからです。
行動目標は日単位、タスクに要する時間も1時間とか30分とか短くする方が有効です。
特にスキマ時間の利用を考えた場合は10分でできるタスクを整理して予め用意しておくと良いです。
環境を整える
なるべく行動しやすい環境を整えます。
それにはタスク管理などの支援ツールを最大限使うことを強くおすすめします。
大切なことは行動することです。
理想を言えば「目の前のタスク」以外のことに一切脳みそと時間を使いたくないわけです。
でも実際はタスクの管理などの補助的な作業が必要。ですからこの作業は出来る限り簡潔にしておきます。
ツールを使うことで行動の時間が増えたり、行動に使うエネルギーがセーブできるならどんどん使いましょうというのがわたしの考えです。
おすすめツールは Nozbeです。
タスク管理手法のGetting Things Doneを直感的にできるアプリです。
間違いなく補助作業の労力を削減できます。
アプリと言えば、学習教材にアプリを使うこともおすすめです。
紙のテキストよりも携帯性が高いこと、学習にデスクがいらないといったアドバンテージがあります。
また目標の項目でも触れたことですが、アプリは学習(行動)を実際に始めるまでのハードルが低いですよね?
ポケットからさっと出してすぐに始められます。音声や動画に簡単にアクセスできるのも英語学習には強力なメリットですよね。
ビジネスパーソンにとってスキマ時間は貴重な学習時間になりますから積極的に利用していきたいツールです。
通知機能を使う
最後の仕掛けが通知(リマインダー)です。
新しく取り組むタスクは習慣化されていませんから忘れがちになります。
注意しておきたいのは、嫌でタスクを実行しないと言うことではなく、単純に忘れてしまい→終いにはタスクそのものが自然消滅、ということもあると言うことです。
覚えはありませんか?わたしは結構あります^^;
それを避けるために – また登場ですが – スマホを活用しましょう。
カレンダー機能などを使って時間管理します。
学習アプリを使っていれば、通知機能がついていることが多いのでそれを利用するのも良いでしょう。
上述したNozbeでしたらgoogleカレンダーと連携しているのでシームレスなタスク管理・時間管理ができてとても便利。これもこのアプリをおすすめする理由のひとつでもあります。
フィードバックがあるといい

前項ではぜひ取り入れたい3つの仕掛けをご紹介しましたが、さらに行動、特に継続のメリットになるフィードバック(評価を受けること)をあげておかなければなりません。
これまで目標の達成自体がメリットになると言ってきましたが、フィードバックによって行動はさらに強化されます。
フィードバックの方法はいくつかありますが、典型的な方法を3つあげます。
2. テスト
3. スクール
テストやスクールなどについては、もうそのメリットは確実ですよね?
解説の必要はないと思いますので、ここではSNSについて簡単に触れます。
フィードバックは当たり前の話ですが、一人ではできません。あなたの行動を評価してくれる第三者が必要です。
その効用は明らかですがテストを受ける、スクールに通うと言うのは、それなりに大変ですよね?
その点、比較的に気楽に始められるのが、TwitterなどのSNSを使ったフィードバックです。
気楽というのは投稿する方もですが、相手にとっても同じです。
「いいね👍」を押すのは簡単ですから。
スクールなどに比べれるとフィードバックの濃度は当然劣りますが、何のフィードバックを得ずに行動を続けるよりは絶対におすすめ。
誰かがフォローしているという事実がメリットになります。
費用もかかりませんし、日報的にタスク終了の報告から始めても良いですよね – 数分ですみますし。
コメントをもらえるかも?と思えばモチベーションも自然とあがります。
習慣化には朝が効くと言う話

以前に「朝活」のすすめのような記事を書いたのですが、その理由は時間を固定してタスクを入れ込むと習慣化しやすいからです。
しかも朝は特に効果が高いとの口コミが目についたのも理由です。ちゃんと統計データを調べたわけではないですが感覚的にはあるかなと。
と言うのも、朝ってルーティンワークが多いですからね。その流れで自動化のプロセスに入りやすそうだなという推測もあります。
ただし、あれもこれもでもなく、ひとつのタスクに集中してまずはルーティン化させることが大切です。
最低でもひとつが完全に習慣になるまでは、優先順位の高いタスクにこの一日で最もフレッシュな貴重な時間を割り当てるべきでしょう。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
「わかってはいるけどできない、続かない…」”行動“の問題に対する提案でした。
今回の提案は、行動分析学の影響を受けていますので、「意思の力」や「個人性格」などのファクターは考慮していません。
行動はメリット有りき…という合理的な考えが根底にあってのアイデアです。
わたしには「意思の強さや、やる気に依存しない」と言う行動分析学の基本的な考え方がハマるのですが、あなたにとってはいかがでしょうか?
もちろん今回紹介した方法があなたにとって最善の方策であるかはわかりません。
他にも山のようにこの問題についての考え方や方法がありますからぜひ探索してみてください。
時間をかけるに値するテーマだと思いますので。
行動分析学についてもっと詳しく専門家の話を…ということであれば杉山尚子著「行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由 」(集英社新書)を一読されることをおすすめしておきます。
That’s it, and thanks so much for reading the article. Take care!
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