行動分析学的アプローチによる行動するためのコツ
何かを成し遂げたいなら目標の設定が大事です。
この意見に異論を唱える人はいないでしょう。
目的を強く意識すること。何のためにするのか?一体将来どうなりたいのか?そのために具体的な目標を設定しましょう!とここまでは良いのですが・・・
目標を実現するためには行動が必要。
しかしこの「行動」することが難しいと思うのはわたしだけでしょうか。
目標達成のために今日何をする必要があるのか、仮にわかっていたとしてもその行動を「今すぐに」実行できない 、行動を継続することができない – これらの問題をどうするのか?
今回はこの「行動」いついて考えます。
行動するためのコツ

Photo by Burst
まずは行動分析学的なアプローチによる「行動するためのコツ」を提案していこうと思いますが、まずひとつ以下の質問について考えてみたいと思います。
それにしても、なぜわたし達はやろうと決めたことができないのでしょうか?
確かなひとつの答えがあるわけではないです。
あれば迷わずに済むわけですし、この件にかかわるたくさんの本も一冊で足りるはずです。
あなたはどう思われますか?
この問いに対する答え次第で問題の対処の仕方が変わってきます。
ですのでまずはわたしの考え方というか立場を明らかにしようと思います。
意思について
「なぜできないのか」・・・これについて考えるには「意思の力」を無視することはできないですよね?「意思が強いとか弱い」についての話や評価?はこれまで何度も聞かされてきました。
あなたはどうでしょうか?
決めたことをできないのは意思が弱いから。
あなたに充分な意志力が備わっていないから。そんな風に「簡単」に結論づけられて終わり。こんな経験はきっと誰にでもあると思います。
ですが、それってやっぱり本当に意思の問題なのでしょうか?
本当に意思が弱いからという理由で、途中で挫折(つまり継続した行動を止める)してしまうのでしょうか?
わたしはそれについて「意思の強さ」が問題ではないと思っています。
なぜそう思うのか?
それはわたしの個人的なひとつの経験にもとづいています。
もうかなり前のことになりますが、決して意思の強いと思える人間ではないわたしがタバコをやめられました。自慢にもなりませんが長年に渡るヘビー級のスモーカーが周囲の予想を裏切り?いともあっさりとやめることができたのです。
この出来事が、それまで何かと続かない原因は、意思が弱いから、あるいはやる気が足りないから?と思ってきたわたしに「意思」「行動に対するメリット」「習慣」「目標達成による効果」について考えさせる機会となったのです。
行動に対するメリット

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喫煙のメリットは何でしょうか?
というより喫煙にはデメリットしかないですよね、普通に考えれば。
タバコのパッケージにもちゃんと肺がんの可能性などのデメリットが謳われています。
逆に禁煙のメリットなら腐るほどあります。誰でも知っていることです。
行動分析学的に言えばメリットが行動を律するわけで(上の普通の考え)では説明できません。
でも実はしっかり喫煙のメリットがスモーカーにはあるのです。
タバコを吸うことのメリットは、簡単に言うとドーパミンの放出による快感を生じさせることにあります。タバコに含まれるニコチンの作用です。
ですからニコチンを含まないただ香りがするだけのタバコ(それをタバコというかは別として)にスモーカーは見向きもしません。求めるメリットが得られないからです。
こういう具合ですから、理論上は禁煙をするためには何かこのドーパミンを上回るメリットがなくてはならないはずです。
習慣について
ここまでで「行動分析学」に傾きつつあったわたしの考えは一旦止まりました。
なぜならドーパミンを上回るメリットを禁煙に感じてわたしはタバコをやめたわけではなかったからです。
「ではなぜやめることができたのか?」ということですが、単純にその原因は「習慣(の消去)」にあると今は考えています。
わたしの禁煙の方法は具体的には「禁煙外来による治療」でした。治療は医師の指示に従いながらファイザーのチャンピックスというドーパミンを少量発生させるクスリを服用しながら行いました。
治療の要点を簡単に言うと、タバコを吸いながらチャンピックスも服用することで、タバコを美味しく感じさせないようにさせる – つまり正確にはタバコによるニコチンの「快感誘発」作用を(先にチャンピックスが先回りしてドパミンを発生させることで)抑えるということです。
これを続けるとだんだんとタバコへの渇望が和らいでいきます。完全禁煙まで12週間のプログラムですが、わたしはこのプログラム通りになんとも呆気なく禁煙に成功しました。タバコを吸っても「美味しい」と思えなくなって、気づくと吸うのをやめていました。
禁煙に強い意志は必要ありませんでした。
これを行動分析学では行動の「消去の原理」と呼ぶようですが、要は見返りがなくなった(メリットを感じない)ので続ける意味がなくなり、喫煙という習慣を消去したのです。
目標達成による効果
タバコの例では実際には行動心理学で説明できる消去の原理(メリットの消滅)によって〈悪い習慣をやめる〉目標を達成したのですが、通常は〈良い習慣〉をどう強化するかが課題になります。
これは文字通り「強化の原理」と呼ぶようです。(参考:やる気に頼らない習慣マネジメント相談所)2
先の禁煙プロジェクトは成功でした。初めから吸わなきゃいいじゃない!という話はもっともなのですが、なんだかんだ言っても本人にしてみれば「禁煙」という目標の達成なわけです。
そしてこの経験による効果は、単にタバコを止めたことによるメリットに加え、2つの気づきを得たことでした。
- 意思力に頼らなくても「行動」できるということ。
- 成功体験そのものがメリットになるということ。
小さな成功体験が自信と次のアクションへのモチベーションになります。
この「満足感」や「達成感」が上でお伝えしたメリットになるということも考えられます。
実際に気分は爽快です。この快感(メリット)をもう一度味わいたいというのは人間の習性として理解できますよね。
そしてこの小さな成功体験を何度も繰り返していくことで、「行動すること」や「挑戦すること」が習慣になるかもしれません。英語で目的達成したら、次はダイエットやフィットネスをやろうといった具合にです。
つまり目標をこまかく設定してハードルを下げる。(小さい)目標達成によるメリットを繰り返し得ていくことが大事。このことが行動を習慣化(強化)させ、ひいては目的に達するコツなのではないかと思っています。
さて今回はここまでとして、次回は「行動を促す具体的な方法」についてお伝えしたいと思います。
⇒ 行動分析学的アプローチ|成功率を高める「行動」のつくり方
That’s it for now, and thanks so much for reading the article!
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