句動詞と前置詞で強化する英語イメージ力
ネイティブ同士の会話となると急にギアが変わったかのようにテンポアップしてわからないと感じたことはありませんか?
前回、同時通訳者の関谷英里子さんの本と彼女の英語上達の方法として「イメージ力」の強化について簡単にお伝えしました。
今回はこのイメージ力についてもう少し掘り下げていこうと思います。
それが、「句動詞と前置詞のイメージ化」です。
前置詞と句動詞のイメージ化と書きましたが、実はこの2つについては、むしろイメージ化しなければその本質的な感覚がつかめないと言えるかも知れません。
ネイティブはこの句動詞を実によく使います。映画やドラマでもガンガンでてきます。
基本的な動詞と前置詞などの組み合わせでできていますが、今ひとつ意味がとれないことが多くないでしょうか?例えば、、、
- feel up to
- come on to
- run by
いくつか句動詞として意識せずに覚えているものもあると思いますが、句動詞の数はなんと数百!わからないことが多いのも無理はないのです。
さて、どうするかですが、これは暗記できるものなのでしょうか?とても気の遠くなりような道のりですよね?
そこで『イメージ』です。
句動詞と前置詞の基本イメージを使えば感覚的に意味がつかめる可能性が高くなります。
イディオムのように暗記して覚えるのではなく「感じる」ようになることが句動詞、ひいては英語そのものの理解というか、体得に近づく方法かもしれませんね。
単語のイメージ化は簡単

単語のイメージ化について簡単に触れましたが、これは比較的簡単ですよね?
特に可算名詞は簡単です。すぐに「もの」を思い浮かべて映像化できます。
動詞も一般動詞とかであればイメージ化も取り組みやすいです。
動詞というくらいですから、静止画像から動画のイメージが必要なこともあるでしょうが、それほど困難ではないと思います。
English for Everyday Activities というアプリがあります。日常生活の動きをイラストと音声で学べますので基本的な動詞のイメージをつかめます。
辞書を引いたら一度は目をつぶってビジュアライズする習慣をつけるとより良いですね。
Longman Dictionary of Contemporary English Onlineであれば、今回のトピックである句動詞や前置詞のクイズなど、辞書というだけでなく学習用コンテンツも充実しています。
英英辞典ですが、基本的な2,000単語ですべてを説明している辞典です。初心者からでも使ってみましょう。より早く『英語思考』が身に付きますよ。

句動詞は簡単な単語ばかりだけれど・・・

しかし、今回のテーマである「句動詞」はちょっと厄介です。
そもそも句動詞は簡単そうに見えて難しいのです。
句動詞はぜひとも克服したい課題
句動詞はネイティブ同士の会話でとても頻繁に出てきますよね。
Phrasal verb というくらいですから会話に適したシンプルでとても英語らしいテンポと響きを持っているのが特徴。
しかし、多くの日本人にとって海外ドラマや映画を観ていて良く分からないなと思う原因の一つにこの句動詞が相当影響しているのではないかと推測します。
これはよくあるリスニングの問題ではなく、純粋に知識の問題です。
例えば、仕事でも普通に話が通じていたはずなのに、ネイティブ同士の会話となると急にギアが変わったかのようにテンポアップしてわからないと感じたことはありませんか?
簡単そうな単語の組み合わせ、聞き取れている、でも・・・「アレ?結局どういう意味?」と思ったら、句動詞が犯人だと疑ってください。
ネイティブはこの句動詞を長ったらしいラテン語系由来の動詞(教養語と言うらしいですね)よりも会話で好んで使う傾向があるようです。
(正直言って、フランス語・ラテン語系のほうが外国人にはわかりやすいんですよね。単語の意味が一つ。前置詞と組み合わせて意味が変化していくなんてことは基本的にないですからね。)
お気づきのように、句動詞の動詞は、文字数がほとんど5字以内の極めてシンプルなもの。私たちも中学の1年生ぐらいで習う類のものです。でもわからない。
句動詞は、誰もが知っている(はず)の単語の組み合わせなのに、です。
前置詞と句動詞について
前置詞は、冠詞や自制と並んで日本人が最も苦手とする英文法の一つと言われています。
そしてこの前置詞を伴うことでそれぞれ違った意味を作り出す動詞が、つまり句動詞です。
この句動詞ですが、お伝えしたように一つ一つの意味が異なることから、それぞれ個別に暗記していくしか方法がないと一般に言われています。
しかし、慶応義塾大学の田中茂範教授は、前置詞と動詞それぞれを「感覚的」に理解することで、丸暗記をすることなく、その句動詞の核となるイメージを掴めるようになると説いています。
イメージをちゃんとつかむことができれば「前置詞の理解」はむしろ簡単であるとも言っておられます。
前置詞とはご存知のように in, at, on, by, to などを使って、時間、場所、方法、位置関係、距離感、原因、状態などを示します。
田中先生は、これらの前置詞にそれぞれ固有のイメージがあると言います。
そしてこれらは物理的・空間的・社会的・心理的な「空間」に関連した言わば「空間詞」とも言えるとも。
この空間詞の働きで、話者の話したい事柄が補強されて、より具体的にその内容が相手に伝わると考えられます。
逆に言えば、この前置詞の持つ固有のイメージ(追加情報)がわからなければ、その話者の話したいことの本質を逃してしまうこともありえるでしょう。実際は「全くわからない」という事も少なくないと想像します。
この固有のイメージは基本的な動詞(keep, take, put, giveなど)についても言えます。
そしてこの基本動詞と前置詞の組み合わせ、つまりイメージ✖️イメージが「句動詞」であると言うことです。
lookを例にするとこんな感じ
前述のように「難しい単語が一切入ってないのに意味がわからない」・・・
この大きな原因はわたし達が句動詞を知らないことが原因です。
句動詞は基本動詞と前置詞が組み合わさることによって特有の意味をなす熟語です。
“I am looking for my cellphone.”
「携帯を探しています」と言う意味ですが、ここで使っている look × for が句動詞です。
厄介だというのは、この”look”に特定の前置詞(上の例だとfor)が付くと意味が違ってしまうことです。
lookの句動詞の例
- look after(世話をする)
- look around(見回す)
- look back on(過去を振り返る)
- look down on(見下す)
- look for(探す)
- look in(訪ねる)
- look into(調べる)
- look on(とみなす)
- look out(気をつける)
- look over(ざっと調べる)
- look to(あてにする)
- look up to(尊敬する)
look の基本的な意味は 「見る」ことです。
しかしこれが see や watch と比較した場合、特に視線の動きをともなった時の「(注視する)見る」が look です。さらに良く見ることが、転じて意識が集中するようなニュアンスも出てきます。
“Hey, look! “(ちょっと!)と言うような使い方ですね。
だいたいこれが、”look” のコアイメージ(中心的な概念)です。
この look に前置詞が付くと、さらに意味が「変化」することになります。
“look for” だと for の「何かに向かう」というイメージが追加されて、最終的に「探す」と言う意味になります。
つまり前置詞固有のがイメージがlookにくっつくことでさらに意味が変化していくということです。
上に例をあげた句動詞はそれぞれがくっつく前置詞によって違う意味を持つことになります。
これが前置詞の働きであり、句動詞というもの正体です。
句動詞の重要ポイント
簡単に look を例に句動詞とは何かお伝えしましたが、ここで重要なポイントが2つあります。
- 句動詞となる基本動詞と前置詞の組み合わせがとても多い
- それぞれの句動詞の意味が異なる
この2つに理由によって、句動詞を一つ一つ覚えていくと大変な労力が必要になります。
しかし、それぞれの固有のイメージを理解することによってグッと句動詞のをとらえやすくなるのです。言い換えると暗記することなくダイレクトにイメージとしてとらえることができるようになると言うことです。
一般に大人の学習者は、個別の事例をランダムに覚えていくよりも、システマチックに関連付けながら理解していくことの方が得意だと言われています。要は丸暗記は苦手なんです。ですよね?
前置詞や動詞の基本的なイメージを徹底的に身につけてしまえば知らない表現に対してもある程度感覚的にとらえることも可能になるでしょう。
イメージでとらえることの利点と効果
この動詞のコアなイメージと前置詞のコアイメージを掛け合わせて感覚的に意味をつかむことで、「丸暗記」しなくてもイメージできるようになると言うのがこのアプローチの最大の利点です。
そしてこの訓練の効果は、ダイレクトにイメージ化する習慣ができることで、理解のスピードが劇的に早まること、それによってレスポンス力も必然的に高まることがあげられます。
イメージ化の習慣は当然に名詞などにも自然に応用されるという効果も期待できます。
英語のパワー基本語で
田中先生の著作「英語のパワー基本語」では、基本動詞を10種類と前置詞を26種類、それぞれのイメージを図解と例文を用いながら詳しく解説されています。
しかしも音声ダウンロードのおまけ付きです。
しかしこの「おまけ」ですが、ちょっと普通じゃないです。
なんと田中先生自身による講義とネイティブによる例文音声が全部で6時間分!です。
文法系の参考書とか、どうしても読んでるとちょっと退屈になりがちですが、これがあると違います。
音声だと「イメージ」するのに特に効果的な気がしますしね。こちらが実は「おまけ」でなく、「本体」なのかも知れません!
それと、せっかくネイティブの音声も録音されてますから、しっかりシャドーイングやリピーティングもしておきましょう。効果倍増です。
まとめ

簡単そうに見えるからか、大々的に取り上げらることもない「句動詞」
ですが、英語学習者にとってとても大事なテーマだと思うのですが、あなたはどう思われますか?
思えばこの句動詞ってあまり注意を払われないんですよね。
おそらくその理由は簡単そうなのに難しいから。
簡単なのに、聴くと一瞬何のことかわからない時があるので厄介です。
え? “take in” って今、言った?
こんな感じです。こうしている間に会話はとっくに先に進んでしまうのです。
ちなみに「アルクの英辞郎」で調べてみたら、この take in・・・なんと意味が25個出てきました!(汗)
憶えてしまえば良いと言う考え方もありますし、それができれば問題はありません。
ですが、例えば25個ですよ?暗記したいですか?というのが今回の記事のポイントです。
文法に関する記事にも書いたことなのですが、やはり私たちは英語の基礎を少し甘く見ているように思います。わたしももちろんそうでした。
なんとなく「熟語」的に良く出てくるものだけ、特別な意識もなく記憶していたと言うのが本当のところです。
ですが、簡単そうだけど実に奥の深い「基本語」とその豊富な使いまわし。
もしこの部分を「本当に」マスターすることができれば、英語そのものを感覚的に、そして本質的に理解できると思うのです。
難解な文系や表現を求めて如何に読解するか・・・これをテーマにする人がいてももちろん構わないのですが、実践や実務的なスキルとして英語をマスターするのが目的であれば、本来は中学生英語をみっちりとやるべきではないでしょうか。
この意味で、前置詞と句動詞を使ったイメージ化の訓練というか、習慣づけは「英語の本質」に近づくための方法だと言えます。
ぜひ一度、田中茂範先生の「英語のパワー基本語」シリーズを手に取って、そして音声講義をダウンロードして聴いてみてください。
あなたの英語のイメージ力をアップさせるきっかけになるかも知れません。
英会話レッスンでさらにパワーアップ
もしこの句動詞を徹底的にマスターしたいなら、英会話スクールに「句動詞を習いたい!」とリクエストするのもとても良い方法。
英会話のレッスンはテーマがないとただのおしゃべりになりかねません。
今回のような具体的な目標があった方が効果的なのです。
ただしこのテーマに限っては、必ずネイティブ講師から習うのがおすすめ。
句動詞はまさにネイティブならではの表現方法ですから、これについては彼らの独壇場なのです。
通学型英会話スクールではGABAやベルリッツ。オンライン英会話ではEFイングリッシュ、vipabcが高品質のネイティブ講師が在籍していますし、今回のようなリクエストにも対応してくれると思いますのでおすすめです。
上記のオンライン英会話については詳しい記事もありますので興味があればチェックしてみてくださいね。
Thanks for reading the article. Cheers!
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