シャドーイングの効果とは?通訳者訓練で有名な学習メソッドを知ろう
シャドーイングと言う英語の練習方法を聞いたことがありますか?
もともとは同時通訳者のための訓練方法として知られていたようなのですが、リスニングに効果大ということで注目されているメソッドです。
今回はこのシャドーイングがテーマ。以前に書いた『音声変化』とともに気になる学習手法です。
一体どんなものか、どんな効果が期待できるのか、どうやって実践していくのか調べてみました。
もしあなたがリスニングに悩んでいる、もう少し流暢に話したい!という課題を持っているなら、シャドーイングが解決のヒントになるかも知れません。チェックしてみてくださいね。
シャドーイングとは?

photo by Brandon Wong
シャドーイングとは、ネイティブスピーカーの話した(ナチュラルスピードの)フレーズを約0.5秒くらい後から影を追うようにそっくり繰り返していくスピーキングの練習方法です。
リスニングとスピーキングを繰り返すことで、英語のフィジカル面(口周りの筋肉の運動)を鍛えることができます。英文を瞬間的に産出するという英語のクリエイティブ面を無視して、音をそっくりまねる、特にイントネーション、一時停止、チャンク、リズムをカラダで覚えることができるようになります。
シャドーイングで「発音」が良くなるという言われ方をすることもありますが、少しこれには注意が必要です。リスニング以外にスピーキング(発音)をともないますが、いわゆるフォニックス的な「一音一音」を矯正していく練習ではないからです。また、話せないことは聞き取れないとも言われますが、これも少し違うように思います。訓練次第で聞き取れることはできるようになるはずです。ただし、「話せること」は「聞き取れること」と言っても良いようにも思いますが。
シャード―イングの主なトレーニングの成果はあくまでもリスニングスキルの向上です。そのうえで、発音について書きますが、シャドーイングは全体のプレーズの流れを大きくつかんで、それをマネすることで体得することが大事だと思います。特に日本人の場合、日本人には大げさに思える抑揚の豊かなリズミカルな話し方を真似ることに集中することで、平坦になってしまいがちな話し方のクセを直す効果があります。
私は、個別に完璧に発音することよりも、抑揚や、強弱、音の長短をつけた、英語的なメロディアスでリズムの効かせたフレーズで話すことの方がより大事(つまり、ネイティブにわかりやすい)と考えていますので、スピーキングの流暢さを高めるにも、シャドーイングというメソッドはとても有効な練習方法だと考えています。
※ただしフォニックスや個々の発音の重要性を否定しているわけではありません、念のため。発音の重要性については何の異論もありません。異論どころか、英語は「音」だと私も考えています。このフレーズのリズム等々については、あくまでも優先順位としてそう考えているということです。
母音と子音をできるだけ完全に「発音」できるに越したことはないと思っています。ただこの領域の議論は、さまざまあるでしょうが、端的に言ってあまり意味がありません。『伝えること』を第二言語の第一習得目標におくのであれば、できた方が良い、ただそれほど神経質になるほどでもないのでは?ということです。
(出典:「【PROGRIT×本田圭佑】トレーニング『シャドーイング』編 FULL」YouTube1
上はご存知、日本代表サッカー選手の本田圭佑さんが出演する、コーチングスクールのPROGRIT(プログリット)のプロモーションビデオです。
プログリットのカリキュラムによるシャドーイングを本田選手がトライしています。ちなみに彼ほど『伝えたいこと』が明確にあって、それを表現したいと強く思っている人であれば、多少の発音や文法のミスなどマイナープロブレムでしかないのがわかります。

ディクテーションとどう違うの?
ディクテーションというメソッドも最近よく耳にします。
シャドーイングとはどう違うのでしょうか。
ディクテーションとは、フレーズ(文章)を聴いて、その後にできるだけ正確に一語のもれもないように書き取ることです。これによって聞き取りが自分の苦手なポイント(例えば特定の発音変化)について知ることができるというメソッドです。一方でシャドーイングはリスニングスキルを積極的に鍛えていきます。
シャドーイングのメリット

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気楽にすぐにはじめることができる
まず、気楽に始められるのがいいですね。相手が必要ないというのも良い。つまり今からでもすぐにできます。
教材など市販されているものから選ぶことができるけれども、実際はインタ―ネットでいくらでも音源は探せますから、何も特別な準備はいりません。これは、大事なポイントです。英語は実践ですから。
まずやってみる。効果があると思えば続けたらいいという話です。
英語の音のクセが体得できる
シャドーイングは、物真似が基本だから、作文などのクリエイティブ面を気にしないでフィジカル面に集中します。
ここでいうフィジカル面というのは、「音」だけを聴いて、それをそのまま筋肉と息を使って発声するということです。
息遣いまで真似る気持ちでコピーします。
この過程で、英語のクセ・・・リズム、イントネーション、チャンクの感覚、ポーズなど体得できるようになります。
リスニング能力が大幅に向上する
音に集中して何度もトレーニングすることでリスニングスキルがあがっていきます。
特に音声変化についての理解が深まる事で苦手意識が改善され、場合によっては一気にレベルアップします。何度もやるのは大変ですが、やればやっただけ効果が見込めます。慣れてくれば、ナチュラルスピードの英語が、それほど速くは感じなくなるでしょう。
シャドーイングの効果的な学習方法
自分にあった音源を選ぶ
文章(音源)は何でも良いのですが、冒頭で説明した通り、シャドーイングは、意味をとったりする練習でありません。音のクセをつかむ訓練だと考えてください。
ですので、なるべく自分のシンプルなものを選んだ方が良いでしょう。
知らない単語が多すぎると、どうしても意味(がわからないことに)引っ張られてシャドーイングそのものに集中するのが難しくなりますから。
内容的に複雑なものであれば予めスクリプト(文章)を用意して、音読練習をしたうえでシャドーイングすると良いです。とはいえ、このスクリプトを使った練習ですが、実はあまりおすすめではありません。
と言うのも、英語の音声変化についての知識とリスニングの訓練ができていれば良いのですが、もしまだであれば文章を追っていきながら、ナチュラルスピードの英語についていくのはかなり難しいと言うか、まず無理です。文字になっている音が聞こえない事も多いし、文字通りに発音されないことも多いからです。

YouTube
YouTube でネイティブが話しているものであればどれでも教材になります。
英語字幕が出ればどれでも良いです。字幕は何度かトライしたあとで良く聞き取れないとか意味がとれなかった箇所をチェックするのに役立ちます。
注意点は、レベルを自分に合わせること、音に最大限注意を向けていくことです。文字にたよらないこと。字幕は確認用だと思ってください。間違っていても問題ないので全体のセンテンスを一気に言い切るようにすることが大事です。
それとモデルをしっかり選ぶことも大事ですね。男性であればやはり男性がより良いですね。物真似です。声のトーンをあわせて感情移入。身振り手振りも加えると最高です。成りきること。これが大事です。メリットの項目で書きましたが、独りでできるのがシャドーイングの良いところ。恥ずかしくないから、思いっきり練習できます。
興味のある分野について話をしているネイティブ YouTuber を選んで一度やってみてくださいね。
シャドーイングの欠点
シャドーイングに欠点があるとすると、それは独学ですのでフィードバックが得られないことでしょうか。話すだけで口周りの筋肉など運動の効果はあるのですが、発音やリズムについてどうだったか、チェックすることができないことです。ひとつの解決法は、シャドーイングをスマホのアプリなどで録音することです。客観的に後から聞くことができるので、定期的に録音していくことで上達状況なども把握しやすくなりますね。
コーチングスクールのプログリットのプログラムにシャドーイングトレーニングが組み込まていて、受講生のスキル向上に最も貢献しているトレーニングのようです。このシャドーイングをスマホで学べるアプリがリリースされました。コーチングというと高額というイメージがありますが、アプリだとかなり手軽な価格になっているのも魅力です。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。

スクール
少し、試してみて効果ありそうだな、モチベーションがあがるな、と思えるようでしたら、スクールを検討してみるのも良いかも知れません。
シャドーイングは基本的に自習用ですが、シャドーイングも含め体系的な学習計画にもとづいて短期間で集中的に学ぶコーチングスタイルのスクールは、大変だけれども一段・二段確実にあなたの英語力を引き上げることができるおすすめの学習方法です。
先に紹介したコーチングスタイルのスクール以外にも、ベストティーチャー(Best Teacher)というオンライン英会話スクールでもこのシャドーイングをカリキュラムに組み込んでいますので、ここも確認してみるのも良いかも知れません。
ちなみにこのベストティーチャーですが、ちょっとユニークなオンライン英会話スクールです。ここのコンセプトは、『自分が普段話している日本語を全て英語にすれば、英語は話せるようになる』というものです。詳しくは以下のような感じです。公告を引用してみましたので、一度公式サイトをチェックしてみてください。
ベストティーチャー(Best Teacher)は2012年5月から開講したTOEICスコアは高いのに
英語がなぜか話せない人ためのオンライン英会話スクールです。ここで質問があります。なぜ日本人は英語が話せないのでしょうか?
答え A. 話す機会が少なかったから。
答え B. 話す準備をしていなかったから。Aだと思った方は、ベストティーチャー(Best Teacher)以外のSkype英会話をオススメします。
Skype英会話は、安価で話す機会を大量に提供することで、日本人に英語を話す機会を提供してくれます。
もし、Bだと思った方がいらっしゃいましたら、自信を持ってベストティーチャー(Best Teacher)をオススメします。あなたの名前は?どんな仕事をしてるの?週末は何してるの?あなたの会社のサービスの優位性は?
など、実際に英語を使うシーンで聞かれることを事前に準備しておけば、英語は間違いなく話せるようになります。逆に言えば、自分が英語で話すことを準備していないから話せないのです。
ベストティーチャー(Best Teacher)は、Writingレッスンで自分の回答を書いて添削してもらい、Skypeレッスンで実際に外国人相手に通じるか試してみます。
Writingレッスンで準備して、Skypeレッスンで話したときの自分の英語力の上達に驚いた
という声を多数いただいています。あなたも是非体験してみてください!

まとめ

Photo by Lukas from Pexels
ここまでシャドーイングについてみてきましたが、シンプルです。
ネイティブの発音、話し方をコピーしていくということです。
音に集中してそのリズム、強弱、語気を意識してそっくり真似する気持ちでやっていくことが大事です。
英語って音を出すだけで本当にエネルギーを使うんですよね。
シャドーイングをすることでそのことが良くわかります。
聞いているだけ、自己流ではわかりません。
ネイティブと同じような勢いで英語を発することで初めてわかるようになります。
これはやはり筋トレと同じで日頃から鍛えておく必要があると思うのです。
シャドーイングの練習は、リスニングスキルの向上を狙ったもの。発音をともないますが、瞬間的に英文を産出するクリエイティブな作業はまた別の話になります。予めはの部分を鍛えておくことで、実際に会話をしていく際にその部分については考えなくてすみます。
つまりタスクが一つすくなくなります。
これって地味ながらも、クリエイティブな部分により集中できるようになるので有効だと思うのですがいかがでしょうか。
まだシャドーイングを試したことがないということであれば一度は試してみてください。悩み解消のきっかけになるかも知れませんね。
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